「桃太郎」「金太郎」「ブルーサンダー」「レッドサンダー」と聞いて、貨物列車の名前だとわかる人は相当列車好きな方でしょう。幼稚園に通う6歳の孫は、はじめは「働く車」が大好きでした。コンクリートミキサー車を見ると大興奮するのですが、口が回らないため何と言っているのか聴きとるのも一苦労。たくさんの車の名前を教えてくれました。それが、いつしか電車に興味が移り、新幹線に。そして今は貨物列車が大好きなのです。
先日私がJR中央線の駅で電車を待っていたら、ちょうど桃太郎が停まっていて乗務員が運転席に乗り込むところでした。チャンス! 私はスマホでビデオ撮影を始めました。すると急に私の前に立って桃太郎を撮影する男性が。じゃまだ~、どいて! と叫びたかったのですが、そこは我慢。彼も夢中で撮影していました。貨物列車のファンがいることに驚きました。上の方にある運転席で敬礼のような合図をすると、貨物列車は、ゆっくりと動きだし速度を上げてホームを後にしました。そのビデオを見た孫は大喜びしてくれました。
それからというもの、我が家に来るたびに貨物列車を見に行きたいというのです。今年の夏は連日猛暑でしたが、私たちは下の3歳の孫も連れてJR立川駅に何回も行きました。事務所で駅員さんに、貨物列車は何時に何番線に行けば見られるのか尋ねると、駅員さんは分厚い時刻表で調べてくれます。40分も待たなくてはならないことがわかった時、気の毒そうな顔をしていましたが、子どもたちは時々やってくる特急列車に歓声を上げながら、ひたすら待つのでした。
先日は駅員さんが、「貨物列車は〇時〇分に通過する予定だけれど、来ないこともあるよ。それでもいいかな?」と言いました。通過時間まで数10分もあり、見られるかどうかも保証されていないのに、子どもたちは楽しそうでした。すると突然「間もなく〇番線を貨物列車が通過します。貨物列車が通過します」とアナウンスが流れたので、びっくり! テンションが上がったのは言うまでもありません。普段はそんなアナウンスは流れないのに、猛暑のなか待ちわびている子どものために放送してくれたのです。優しいなぁ。
電車カードという物があることも孫に教えてもらいました、改札口で「電車カードありますか?」と聞くと、自社の電車の写真カードをくれるのです。恥ずかしがり屋の孫ですが、勇気を出して駅員さんに声をかけています。孫の成長に合わせて、高齢者の私たちの世界も広がっていきます。孫の貨物列車は、これから私たちをどんな世界へ連れて行ってくれるのでしょうか。