「あー、疲れた」「もう動けない」。 そう言うと、私はソファにへたり込みました。
「そうだろう。人生は疲れるものなんだよ。疲れたときは横になればいい」。
いたわってくれているのか、足を引っ張っているのかよくわからない夫に、そう慰められる日々が続きました。めったに「疲れた」とか「頑張れない」ということは言わないのに、この春、私は情けないほどに「疲れた」と言いました。
朗読と話し方講座のテキストを書いていたからです。これまで『イキイキ話し方教室』『楽しく話す生き方教室』という2冊の本を出版しました。ありがたいことに多くの方々にお読みいただき、テキストが無くなってしまったので作ることにしたのです。『未来を創る話し方』というタイトルにしました。張り切ってパソコンに向かいましたが、たちまち肩こりがひどくなり、気持ちもどんよりしてきました。
疲れた理由の2つめは、息子一家が我が家の近くに引っ越してくることになり、それにともなって二人の孫を我が家に泊めたからです。好き嫌いが多いので食事作りもひと苦労。トイレも付き添い、お風呂も一緒に入ります。寝る前には絵本を読みますが、リクエストが多くへとへとになり、私の方が疲れて寝落ちしそうになります。気力体力が充分でないと孫の世話はできないと、つくづく感じました。その合間に仕事をこなしているような毎日が続いたのです。
そんなとき、ある公民館の話し方教室のグループLINEに天の声ともいえる情報が送られてきました。
「口癖を聞けば、よぼよぼになるか、死ぬまでぴんぴんしているかわかる」というものでした。脳が老化するスピードの速い人の口癖は、「あー、疲れた」「もう、いやになる」だそうです。「疲れた」と口に出して言うことにより、脳は疲れたという情報をキャッチして本当に疲れてしまうというのです。
ハッとしました。そうなのです! 脳は騙されやすいのです。楽しくなくても、声に出して笑うことにより、脳は「あれ、笑ってる、楽しいんだ」と思い、疲れが軽くなるのです。だから、前向きな言葉を言うことが大事なのですね。そういうことをお伝えしたくて本を書こうと思ったのに……。
引っ越して1か月ほど経った頃、小学1年生になった上の孫が、「ねえ、まきちゃん、僕たち良い親友だね」と言うので、びっくり! 親友なんていう言葉を知っているんだ。
嬉しくておかしくて大笑いしました。この言葉を思い出すたびに元気が出ます。私、まだまだ頑張れそうです!