先日、知り合いの女性が、我が家へやってきました。彼女は、時々思いつめたような表情をするので、心配事を抱えているのだろうと感じていました。予感は的中。お嬢さんがADHDなのだそうです。注意欠陥多動性障がいといって男の子に多く見られます。落ち着きがなく、興味のある物があると、状況を考えずにパッと飛びついてしまうので、集団生活になじめず、仲間外れにされてしまうこともあるのです。彼女は、そのことを周りに隠し続けることに疲れてしまったようです。
私が子どもの頃は、そういう男の子がけっこういました。授業中に勝手に教室内を歩き回ったり、指名されていないのに勝手に答えたり、面白いと思った物は、友達から奪い取ってしまったり。そういう子がどうなったかというと……、先日小学校の同窓会があったのですが、ステキな50代になっていました! 社会人になり、皆落ち着いていました。「あの頃は、わんぱくで迷惑をかけたね~」と、思い出話に花が咲きました。単に「うるさい子」で済んでいたのですが、今は、いろいろ解明されて名前がついてしまったので、親は複雑な心境なのでしょう。(もちろん、彼らがADHDかどうかは不明ですが)。
お嬢さんのことで悩んでいる彼女に、先日、嬉しい再会があったことを話してあげました。ある祝賀会の司会をした時、「村松さん、おかげさまで息子は高校生になりましたー!」と、弾けるような笑顔でおっしゃる方がいたのです。誰だっけ? しばらく話をしたら思い出しました。その人の息子さんはADHDで、小学校のプールの授業の際、皆と違う色の水泳帽をかぶってほしいと学校側から言われ相談に来たのです。同じ色でなければ嫌だという息子の気持ちを尊重したいというので、そのように学校側に働きかけた方がといいとアドバイスしたのです。終始思いつめた顔をしていたので、目の前の女性と一致するまで時間がかかりました。息子さんが高校生になったと聞いて、私も嬉しくなりました。辛い思いをたくさんしたことでしょう。でも、ここぞ!という時には、わが子の気持ちを尊重して頑張ることが大事です。それが、子どもを安心させるのです。
世の中には、知らなくてもいい障がいがあります。でも、知ってしまったら、絶望しないで、子どもの長所をみつけ、褒めるようにすること。それが、子どもに未来の扉を開ける力をつけてくれます。同じ悩みを持っている人は、案外身近にいるのです。「一人で悩まないで」と言うと、彼女は心が軽くなったと微笑みました。