群馬県の渋川市で講演をしました。市教育委員会主催の「地域づくり講演会」です。スタッフは、女性団体連合会の皆さんで、どの方もにこやかで感じが良く、チームワークの良いことが伝わってきました。控室にはお弁当だけでなくお茶菓子まで用意されていて、教育長をはじめとする教育委員会の方々もご挨拶に来てくださり、フレンドリーな印象を持ちました。
演題は、「笑顔は元気のバロメーター 『こんにちは』に心をこめて」。まず、司会の女性に舞台に上がっていただきました。突然指名され、戸惑った様子でしたが、「今の司会の口調は堅かったから、もっと楽しそうに、笑顔で言ってみてください」と促すと、ちょっと照れながらも、しだいに乗ってきて、ニッコニコの笑顔でチャーミングに話し始めました。その様子を見て、会場の方々が一斉に笑顔になりました。笑顔で話すと、声も明るくなり、会場全体の雰囲気まで一変して和やかになるということを証明してくれました。こうなったら、しめたもの! 教育長をはじめ、多くの方々にさまざまなパフォーマンスをしていただきました。私の要求に快く応じてくださり、90分間ほとんど笑っていたと言ってもいいくらい、よく笑いました。あれほどノリのいい聴衆は初めてでした。会場との一体感に、私も高揚しました。
笑うことは、ボケ防止にもなるし、免疫細胞を活性化させるので病気の治癒力も高めてくれます。私はシェーグレン症候群という難病に罹っていて、ドライマウス、ドライアイに悩まされていますが、笑顔を心がけることで前向きな考えができるようになるということも話しました。すると会場の女性から、「友人が、脱水症状のような感じで具合が悪く伏せっているが、どうしたらいいのか?」という質問が出ました。脱水症状なら病院に行った方がいいと答えたのですが、なぜこんな質問が出るのだろうと気になりました。
その疑問は、帰宅したら解けました。名刺交換したスタッフの女性から連絡があったのです。その方は、どこの病院に行っても異常はないと言われ、それでも具合が悪いので、会場にいた友人達が、もしかしたら私と同じ病気かもしれないと思ったのだそうです。あまりの具合の悪さに絶望しているから、話を聞いてやってほしいというので、電話で話してみることに……。
顔も知らないその女性は、不安な気持ちを私に打ち明けてきました。その声と話し方を聴いて、シェーグレン症候群ではないことを確信しました。「大丈夫ですよ」と告げると、彼女は今にも泣き出しそうな声で喜んでいました。何度も何度もお礼を言っていました。
それにしても、渋川市の皆さんは、なんて優しいのでしょう! 皆で仲間のことを案じているのです。地域づくり講演会という趣旨でしたが、実に心の通い合った地域づくりがなされていると、感心しました。人がつながってこその地域ですものね。