母は、昨年暮れに入院し、今年初めに進行性の癌だとわかり、2月に86歳で他界しました。姑の介護をし、夫を看取り、やっとこれから自分の時間を楽しめると思った矢先のことでした。寝たきりにならないように、ボケないようにと、携帯電話を新しくしたり、バスに乗らずに歩いたりしていました。あんなに元気だったのに……。亡くなってからは、脱力感で仕事も手につかず、何を見ても何をしても母のことが思い出され涙しました。
そんな折「ご存知ですか?ロコモと骨粗しょう症 ~長生きを支える足腰づくり~」というセミナーの司会をしました。"ロコモ"って、何? ハワイと足腰の関係って何だろうと疑問に思ったのですが、ロコモはロコモコではなく、「ロコモティブシンドローム」を略したもので、骨や関節、筋肉、神経といった運動器の障害により、歩行困難や寝たきりになってしまうことをいうのだそうです。
日本整形外科学会の岩田幸英理事長と日本骨粗鬆症学会の太田博明理事長に、ロコモの症状やチェック法、暮らしの中でできる対策についてお話しいただきます。私の周りでも、「膝が痛い」「腰が痛い」と訴える友人が増えてきました。他人事ではありません。女性は骨粗しょう症になりやすく、転んでしまうと大腿骨を骨折しやすく、寝たきりになってしまうことも!しかも、屋外ではなく、住み慣れた自分の家で転ぶ事が多いのです。自分では足を上げているつもりでも、きちんと上がっていないので、ちょっとした段差で転んでしまうのです。ドミノ骨折と言って、繰り返し転ぶこともあると聞いて、ショックを受けました。転ばないようにするには、つまずかないように部屋を片付けることだと言われ、納得しました。
先生方のお話を伺っている時、健脚だった母のことが頭から離れませんでした。入院前、新しくなった駅ビルに買い物に行きたい、散歩がてら歩いて行こうと母が言うので、30分も歩いたことがありました。きつかっただろうに、母は楽しそうでした。セミナー終了後、その話をしたら、「大切なのは、健康寿命です。あなたのお母様は、86歳までしっかりと自分の足で歩いていたのですから、健康寿命は百点満点、サイコーです!」と、言ってくださいました。目頭が熱くなり、このひと言で私の心は軽くなりました。
"メタボ"の次は〝ロコモ"です。健康寿命を少しでも長くするために、エレベーターがあっても、なるべく階段を使うようにしようと心に決めました。