「なにか甘いものが食べたくてたまらない! お菓子食べないとタバコ吸っちゃうかも!?」
深夜、単身赴任中の夫からの電話です。
それは大変! 若いころからタバコを吸い始め、喫煙歴40年近くになる夫が、なんと、禁煙に成功したのですから、ここで挫折してもらっては困ります。
結婚したてのころは、夫の煙害に閉口しよくケンカしました、「私とタバ子(女性に見立てて呼んでいました)と、どっちを取るの?」と、私が迫ると、「君がいなくても生きていけるけれど、タバ子がいないと生きていけない!」と、真顔で言うではありませんか!? 以来、タバ子さんは、絶大なる存在感で夫と私の間に居座り、いつもケンカの種でした。
換気扇の下か屋外で吸うという約束を守れば、タバ子さんと付き合ってもいいと認めざるを得ませんでした。
50歳を過ぎてから、夫は"健康おたく"に変身しました。健康雑誌を読みあさり、体にいいということは端から試していました。食事やお茶にも気を遣い、お金もかけるようになりました。禁欲的にいろいろと頑張るよりも、タバコをやめた方がずっと健康にいいのに、という私の声には一切耳を貸さず、一向に禁煙するようすは見られませんでした。
ところが、喫煙歴の長い私の父が肺がんで他界したことも影響したのか、ある日、「離煙パイプ」なるものを買い、使い始めたのです。どうせまた途中で挫折するからと期待していなかったのですが、さしたる禁断症状もなく、タバコをやめたというので驚きました。これまで何度も禁煙に挑戦したのですが、24時間経たないうちに機嫌が悪くなり、私が話しかけるとケンカ腰になるので、私の方が根負けしていたのでした。
「離煙パイプ」は、31種類のパイプがあり、タバコを吸いたくなったらそのパイプを取りつけて吸うのだそうです。1本めのパイプは3%ニコチンをカットし、2本めは6%と、毎日1本ずつパイプを交換すれば、1か月間で無理なくタバコをやめられるというのです。禁煙と違い、吸いたいときにパイプさえつければいいので、ストレスなくタバコと縁が切れるというわけです。
以来、夫は、私の宿敵だった愛人のタバ子さんに魅力を感じなくなったそうです。その分、時々甘いものが無性に食べたくなり、目下の悩みはウエストなのです。
離煙パイプで私と離縁にならなくて、メデタシ、メデタシ! タバコ代も浮いて一石二鳥だね。禁煙に悩む皆さま、離煙パイプ、ぜひお試しあれ!