「ES」、これ、何のことだかお分かりですか? 「エントリーシート」、つまり就職試験の申込書、履歴書のようなものです。今年は就職難だと言われる通り、ご多聞にもれず息子も苦労しています。時間さえあればパソコンに向かいESの記入に余念がありません。このESを期日までに相手側に送信し、パスしないと面接までこぎつけないからです。
それにしても今どきの「就活」には、驚かされることばかり! 「ウェブ適性テスト」なるものがあります。一般常識問題から、その業種に合っているかどうかという適性テストまで、パソコンで行うというから驚きです。
「これから試験を受けるから」
パソコンの前に座る息子を見て、思わず国語辞典を片手に私も座りこもうとしたら、
「邪魔だから、向こうに行って」
そうだよね~。制限時間がくると、画面が閉じるシステムになっています。自宅に居ながらにして、しかも深夜でも受けられるので便利ですが、替え玉受験する人もいるとか……。
いざ、就職試験が解禁になり、ESが通ると、今度は面接の申し込み。これもパソコンの出番です。日時が重ならないように、効率良く受けられるように申し込みます。黒のリクルートスーツが当たり前のご時世、アパレル業界のある企業では、「あなたが、最も素敵に見える服装で来てください。」という面接もあったとか……。
通過すれば次の面接日時の連絡はありますが、ダメだったら連絡が来ないことも……。何社も受けたのに全く連絡が来ない時は、どんなに不安なことでしょう。中には、"お祈りメール"で不採用の連絡をくれるところもあるそうです。「あなたの今後のご健闘をお祈りします」というメールです。ですから、授業中でも携帯電話は手放せません。
私がアナウンサー試験を受けた頃は、どこの放送局でも最初の音声試験は原稿を読まされますが、ほんの2~3行読んだだけで、「はい、ご苦労様。」と、声がかかり、その場で不合格がわかったものです。最後まで読ませてもらえたら、たいてい合格でした。アナウンサーになってそのようすを見る機会がありました。たしかに、最後まで聞くまでもなく、適性は歴然とわかるものだと納得しました。
リーマンショック以来、企業が採用を控え、働きたくても働く場がない今の若者たち。携帯電話とパソコンに翻弄されながら厳しい就活をしている若者たちに、心からエールを送ります。胸を張って頑張れ! いつか、君に合う会社がみつかるよ!