スキー場でお昼御飯を食べようとレストランに入ったら、私と同じフリースを着ている小学生の女の子がいました。 「あら、いやだ! あの子、私と同じフリース着てる。」
私の言葉に、夫は苦笑いしながら言いました。 「どっちがいやなのかな? あの子にしてみれば、『ショック! あのおばさん、私と同じフリース着てる。』と思うに決まってるだろ。」
なるほど! 説得力がありました。なんてったって、ユニクロのリニューアルオープンで買った掘り出しものです。大勢の人が買ったはずです。女の子にみつからないように食事をしました。
日頃、「おばさん」と呼ばれることもなく、自分でも自覚がないものですから、この「おばさん」という言葉には、忘れている年齢を思い出させる力があります。最近の私ときたら、友人と買い物に行けば、女子高生が着てもおかしくない可愛いキャミソールを買い、評判のお店があればランチしに行き、デザートまで平らげた挙句、ダイエットしなくちゃと言い合い、おしゃれなアクセサリーをみると、どこで買ったのか根掘り葉掘り尋ね、いつもお腹も心もたっぷり満たされています。どこから見ても、立派なおばさんです。でも、自分では微塵も、おばさんという意識はないから始末に負えません。
そんな大らかな日常を享受していたら、ある日、スカートのウエストがきつく感じられました。元々小さめだったかもしれない。他のスカートにしよう。自分に甘いのもおばさんの特徴です。ところが、体重計に乗ってギョッとしました。信じられない値だったのです。自分の身に起こった不幸を友人にメールしました。すると、友人からも同じような内容のメールが届くではありませんか! なんだ、私だけじゃなかった。すぐに安心して、またケーキをペロリと平らげてしまうのでした。
そんな友人のダイエット法は、「なんて太ってるんだ」と、夫に罵ってもらうこと。ところが、あまり効き目がないためかエスカレートしてしまい、「太り過ぎてみっともない。そんなデブと結婚したつもりはない!」と言われ、彼女は頭にきて、思わぬ夫婦げんかに発展してしまったというから女心は複雑です。かく言う私も今年の誕生日のプレゼントには唖然としました。巷で人気のダイエットDVDだったのです。夫とはしばらく口をききませんでした。
女心はいろいろあれど、おばさんの女心ほど複雑なものはありません。これを忘れると思わぬトラブルに発展するのでご用心!