机の上にドンッ!と置かれた透明な容器には、2リットルもの飲み物が入っていました。中身は下剤です。昨日も素うどんとお粥しか口にせず、下剤を服用しました。お腹はすいているものの、こんなにたくさん飲めそうもありません。
「よく冷えていますから飲みやすいですよ。これを飲んだら、ひたすら歩き、またここへ戻り、飲んで、歩いてください。トイレに行きたくなったら用を足し、最終的に、待合室のトイレで用を足していただき、それをチェックして、腸がきれいになった方から検査に入ります。」
きょうは、初めての大腸内視鏡検査の日です。9月に回腸の炎症で入院し、念のため内視鏡検査を受けることにしたのです。人間ドックは受けていますが、内視鏡検査は初めてです。
テーブルを囲み、私を含め4人の女性が座っています。3人とも経験済みとあって、カメラが腸壁に当たって方向を変える時の痛みは想像を絶するということや、医師の言葉は少し耳に入ってくるが、痛みと気持ち悪さで画面は見られないということを話してくれました。また、去年友人に勧められて何気なく受けたら、癌が見つかり一命を取り留めたという話に、一同うなずき合いました。
緊張しながらひと口飲むと、ポカリスエットのような味が。コップ2~3杯を一気に飲むと、いざ出陣! どこを歩いたらよいのやら見当もつきません。でも、待合室をでると、私と同じように名札をつけた人が、大勢歩いているではありませんか! トイレの前を行ったり来たりしている男性は、眉間にしわを寄せて神妙な顔つきでした。間もなくOKが出るのだろうなぁ……。
私にもOKが出て、やっと検査の順番が回ってきました。カメラの先端には、ライトと、腸を膨らませるために空気を送り込む穴がついています。私の眼は、カメラが写しだす映像に釘付けになりました。そこには、理科の教科書で見たような腸の世界が広がっていたからです。
「わあ、きれいですね~! 毛細血管がよく見えますね。」
カメラが回転するときは、さすがにみぞおちをつかまれたような痛みがありますが、あとはひたすら画面を見てしゃべり続けました。情景描写と質問攻めです。どんな状況でもアナウンサー精神健在です!
結果は異常なし。回腸のあの痛みは、一体何だったのでしょう。でも、先生は「腸は20代の若さですね。」と、褒めてくださいました。"若いのは腸だけ!?"と思うと、嬉しさも半分ですが……。