食べてから出すまでは自分の責任です。健康の為に、「食べること」に興味関心を持っている人は多く、ココアのポリフェノールが体に良いと聞くと、たちまちココアが売りきれになってしまうこともあったとか。でも、健康状態を知るためには、むしろ「出すこと」に気を配らなければならないと思います。 息子がまだヨチヨチ歩きの頃、トイレでウンチをしても自分でお尻をふけませんでした。ある日、私がお尻をふいてあげた時、トイレのなかに浮いているものを見て感激しました。立派だったのです。こんな小さな体から、こんなにも立派なウンチが出るのか!と見とれてしまい、私が作った食事をしっかり消化して健康であることがわかり、嬉しかったことがありました。 そこで、専門家に「健康なウンチの条件」をうかがいました。バナナくらいの大きさ、柔らかさで、色は黄褐色。便秘で腸内にある時間が長いと茶褐色や暗褐色になるそうです。今、保育園や幼稚園では「バナナウンチをしよう!」と、子ども達に教えています。そして重さは、100gから200g(!?)。と、いっても、量ったことがないからわかりませんが。 ところが……、いらしたのです。自分のウンチの重さを量った人が。北海道の上湧別町で講演した時、最前列でメモをとりながら聞いていた女性が、ためらいながら手を挙げたのでした。 「えーっ、どうやって量ったのですか?」 「はい、新聞紙の上にして、それをはかりにのせました。」 「まあ! それで、どのくらいありましたか?」 「はい、175gありました。」 「うわぁ、立派です。素晴らしい!」 会場から大きな拍手がおこりました。欧米人に比べて日本人の便は、かさが多いということを本で読み、実際に調べてみたとおっしゃるその人は、民生委員をしていました。好奇心旺盛で勇気のある(?)その女性を、皆しばし尊敬の眼差しでみつめました。 そうなのです。日本人の食事は、欧米人に比べて食物繊維が多いので、かさがあるのです。しかも食物繊維が多いとガスが発生するのでしばらく浮かんでいるのだそうです。すぐに沈んでしまったら食物繊維が少ないサインです。胃、十二指腸、小腸、大腸、S字結腸と見えない世界を旅してきた「お通じ」は、まさに「健康のバロメーター」。もの言わぬウンチは、実に雄弁に健康状態を語っているのです。