小林麻央さんと市川海老蔵さんのブログを拝見し、一緒にがんと闘い、子育てしてきたような思いでいました。奇跡が起こってほしいと切望しましたが、叶わずに麻央さんは旅立っていきました。休むことなく舞台に立った海老蔵さんは立派でした。海老蔵さんのブログには、麻央さんがいなくなった寂しさもつづられています。途方に暮れてしまうだろうけれど、目の前の事を懸命にこなして、一日一日をしっかり生きていく先に、希望の光が見えてくると信じています。
10年以上も前になりますが、朗読教室に通っている80代の女性が「夫が他界してから、寂しくて何もする気が起きないのです」と、おっしゃいました。「たくさんボーイフレンド作って楽しく過ごさないと!再婚のチャンスだって!」と言ったら、「先生、この歳でボーイフレンドなんて無理。再婚なんて介護するためのようなものですよ。」と、ため息をつかれてしまいました。的外れなことを言ってしまったと後悔しました。当時、私の周りにはパートナーを亡くした人がいなかったので、どんな言葉をかけたらいいのかわからなかったのです。
先日、久しぶりに2日間休みが取れたので伊豆に行き、三島大社に参拝しました。夏越のお払いのための藁で作った大きな輪ができていて、皆その茅の輪潜りをしています。ふと見ると、見慣れた後ろ姿の男性が潜っています。まさか!?こんなところで出会うはずがない……。でも、カバンを肩に斜めにかけているところや、歩き方もそっくりです。NHK学園の話し方教室に通ってくださっている男性に間違いありません。「藤原さん!」と声をかけると、藤原さんも腰を抜かしそうになるほど驚いていました。会長を務めるラジオ体操の会のバス旅行だそうです。大きなリュックサックを背負いデジカメを手にした奥様も一緒です。チャーミングで活動的な女性です。
いつも前向きで優しい気遣いのできる藤原さんは、79歳。話し方教室の発表会では、ジャケットの下にスカーフをあしらったり、しぶい和服でステージに登場したり、おしゃれな方です。数年前の発表会で、再婚について話してくださいました。長年連れ添った奥様をガンで亡くし、味気ない毎日を送っていたそうです。このままではいけないと思い、3回忌を済ませた時に「人生を共に歩みたいと思う人がいたら再婚したい!」と、宣言したそうです。すると間もなくご縁があって、再婚することができました。それぞれの子どもたちも結婚したので、孫も増え、お正月は賑やかになったとおっしゃっていました。
前向きな考え方をすることが大事なのですね。麻央さんは命を懸けて、そのことを教えてくれました。