テレビの人気番組「笑点」の大喜利で「18歳と81歳の違いは?」というお題に対しての回答が秀逸だと、今でもインターネットで話題になっています。
「恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳」
「まだ何も知らないのが18歳、もう何も覚えていないのが81歳」
「自分探しをしているのが18歳、出かけたまま分からなくなって皆が探しているのが81歳」。
なるほど!と、爆笑しましたが、笑ってばかりではいられません。100歳以上の人口が6万7千人を超え、20年間で6.7倍にもなりました。60歳以降をどう生きるかが問われる時代になりました。私が18歳の頃は、アナウンサーになりたいという夢に向かって邁進していました。怖いもの知らず。危ういけれど、強さがありました。でも、人生の折り返し地点を過ぎた今、自分の限界も見え、夢を語ることが少なくなったと感じています。そんな折、元気な女性の朗読グループに出会いました。
NHK文化センターさいたまスーパーアリーナの朗読講座の皆さんです。講師をしていた蔭山武人アナウンサーがご病気で亡くなってしまい、後任を頼まれ、4回だけなら、という条件でお引き受けしました。
行ってみて、びっくり! 朗読愛に溢れた(おそらく)40代~70代までの女性達が、背筋を伸ばし私の顔をじっと見つめています。怖いくらい熱を帯びていました。私の言葉を聞き漏らさないように耳を傾け、情景や心情に想いを馳せて朗読しています。私が冗談を言うと、キャッキャッと笑い、まるで女子高生のようだと感じました。思いやりのある仲間に恵まれ幸せだと、口々におっしゃいます。4回で終わる予定だったのですが、彼女たちの熱意にほだされ、講師を続けることにしました。
講座が終わると皆でランチ。身の上話もしてくれます。自宅でご主人の看病に追われている方は、朗読が息抜き。朗読があるから頑張れると言います。また、ご主人に続き息子さんまでも相次いでガンで亡くしてしまったという女性もいます。彼女は編み物が趣味で、いつも自分で編んだ物を着ています。地域で大人のための朗読会をずっと続けている人、小学校で読み聞かせをしている人などさまざまです。誰かに必要とされていること、「ありがとう」と言われることが生きる力になっているのです。二十数人の朗読グループ、皆イキイキしています。
サミュエル・ウルマンの言うように、大事なことは心の在りようです。夢中になれることがあれば、18歳と81歳に違いはないのですね。