東京都のJR国分寺駅に直結しているマルイには、地下に食料品売り場があります。野菜も魚も肉も新鮮で品ぞろえも良く、仕事帰りに買い物ができて本当に便利です。その食料品売り場のレジで驚いたことがあります。それは、どの担当者もこれ以上はないというような笑顔で迎えてくれるのです。お客さんの顔をしっかり見て、ニッコニコの笑顔で「いらっしゃいませ」と言ってくれるのです。支払いが済むと、「ありがとうございます」と笑顔でていねいに言ってくれます。どんなに忙しくても、必ずお客さんの顔を見て笑顔で言葉を発するのです。こちらが戸惑ってしまうような笑顔です。社員教育が徹底されています。
お客さんはどうかというと、多くの人が無表情に会計を済ませています。特に年配の男性は、ほとんどレジ係の顔も見ず声も出さずに、不愛想に買い物かごをもって立ち去る人ばかりです。それでも、レジの担当者は嬉しそうに「ありがとうございます」と頭を下げています。目も合わせない人ばかりだと、笑顔の接客も苦痛になるだろうと思い観察しましたが、徹底して笑顔で仕事を続けている姿に感激しました。今ではこの応対にすっかり慣れて、レジに行くと自然に笑顔になります。これは双方とも、とてもいい気分です。「いつも笑顔で感じが良いですね」と声をかけたら、「こちらが笑顔でいると、お客さんも笑顔になってくれるので私も嬉しいです」と、これまた笑顔で答えてくれました。
時には、無理に笑顔を作らなければならないこともあるでしょう。でも、作り笑顔でもいいのです。面白くなくても笑うようにすると、「あれ、なんだか笑っている、楽しいのかもしれない」と脳は騙され、NK(ナチュラルキラー)細胞が活性化するのだそうです。笑うことで病気を治した人がいます。アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズさんです。私と同じ膠原病で、痛みのために熟睡することもできず歩くこともできなかったのですが、一般的な治療に加え、ビタミンCの大量摂取と毎日大笑いすることで病気を克服しました。面白いビデオをたくさん見たそうです。心筋梗塞に見舞われた時も、笑うことでプラス思考を持ち続け乗り越えました。
相次ぐ自然災害で大きなダメージを受けた2019年、被害にあわれた方々のことを思うと胸が痛みます。大笑いすることは内臓のジョギングと言われています。心の底から笑えれば一番ですが、「にもかかわらず笑う」ことによっても元気が湧いてきます。来年は笑顔の多い年になりますように……。