ちょうど2年前の2月のことです。「大腸ガンが再発して肝臓にも転移してしまい、手術することになりました。しばらく会えなくなりますが、必ず元気になって戻ってきます」そう言って、0さんは入院しました。いつも冗談を言っては笑わせてくれる0さんは、小平市にある津田公民館の「イキイキ話し方教室」の仲間の一人です。皆、自分の家族が入院するような気持ちで、0さんのことを心配しました。退院後、散歩も満足にできないという連絡があり、戻ってくるのは難しいかもしれないと気分が落ち込みました。でも、0さんは元気になって戻って来てくれました。教室に再び大きな笑い声が響くようになり、心から笑えることは気持ちの良いことだと実感しました。
10年ほど前、小平市の津田公民館で話し方教室の講師を頼まれ、自己紹介の仕方からプレゼンテーションのコツまで数回にわたって講師を務めました。老若男女大勢が参加してくださり、講座終了後、有志の方から、続けてほしいという依頼があり、1年ぐらいならできると思いお引き受けしました。参加者が、講座の通称を「ツダコウ」と決めました。そのツダコウが、今年で8年めを迎えました。顔ぶれは多少入れ替わっていますが、こんなに長く続くとは思ってもいませんでした。メンバーの方々は、世代も違えば仕事も違います。家庭環境も考え方も異なる人の集まりなのに、いつの間にか一体感が生まれ、他人事も自分の事のように、喜んだり悲しんだりするようになりました。公民館の中に心地良い居場所ができ、学び、人と人とがつながっていく楽しさを私も感じています。
新年会なども参加費はワンコイン、500円です。お赤飯を炊いて持ってきてくれたり、お菓子の差し入れをしてくれたりするのでおしゃべりも弾みます。これも長続きするコツなのでしょう。代表を務めてくださるIさんは、講座の前日に、「ツダコウ便り」といって明日はどんなことをするのか、メンバーに一斉メールで知らせてくれます。老眼なのでスマホのメールは時間がかかり、じつは大変なのだと言いますが、皆さんはこのメールを楽しみにしています。去年の夏の発表会では、「ステージ4からの生還」というタイトルで0さんが闘病について語りました。聴きに来てくださった方のなかにガン闘病中の方がいらして、0さんの発表に勇気をいただいたと、おっしゃっていました。
小平市では、公民館有料化の話が出ています。知恵を絞って、「ツダコウ」を継続できたらいいなと思っています。