ディズニーランドに新しいエリアが誕生したというニュースを見て、驚きました。混雑を避けるためにチケットはスマホで事前に購入し、入園後はアプリを使ってアトラクションを予約するのだそうです。お土産売場には店員がいません。品物を見てスマホから購入し、あとから送ってもらうのでお金のやり取りもありません。便利という声もある一方で、コロナ対策がここまできたか!と感心しました。
新型コロナウイルス感染症の出現で、私たちの暮らしは一変しました。私は、満員電車に乗って都心に向かう仕事は、すべて辞めました。講演の仕事もキャンセルになりました。3月からこの半年間、新幹線はもちろん、山手線にも乗っていません。移動しなくても用を足せるようになったのです。
話し方教室もオンライン会議アプリのズームを使えば、自宅に居ながら教えることができます。講演もズームで配信してくれるので、会場まで行かずに聴くことができます。IT関連の仕事をしている息子は、ずっと在宅勤務です。職場に行かなくても仕事ができるようになって通勤から解放され、郊外の広い家に移り住む人も増えているそうです。
その一方で、実際に人を集めて行う講座は入念な準備が必要になりました。私が担当する話し方講座の一部は7月から再開されました。これまではコの字型に机を並べていましたが、一斉に前を向くスクール形式になりました。机ごとにアクリル板を設置し、ビニールシートが張られた後ろに立って話すことにしている講座もあります。使用前後の消毒も欠かせません。講座後のランチも今は我慢しなければなりません。東京国分寺市の公民館で、障がい者のための話し方講座をしたとき、講師がマスクをしていると、表情が読み取れず不安になる参加者もいると言われました。主催者は私にマウスシールドを用意し、透明なビニールシート越しに話すように配慮してくれました。ほぼ初対面だったハンディのある方たちも安心してスピーチの練習ができました。マスクをしたままのコミュニケーションの難しさを感じました。
人が人に自分の考えや思いを伝えるとき、言葉の力は1割、口調が3割、あとの6割は表情だと言われています。ところが、マスクは表情のほとんどを包み隠してしまいます。悩んでいても、周りにはわかりにくいのです。自殺者の数が増えているのも気になります。こんなときだからこそ、「辛い」という不安な思いや、「ありがとう」「嬉しい」という感謝の気持ちも言葉で伝えることがより一層大事なのだと感じています。