夜ベッドに入ると、喉が痛く、風邪をひいたのだろうか、コロナだったらどうしよう……!?と不安になることがあります。こんな時、私は友人が作ってくれたラベンダーのアロマオイルを枕にシュッシュッとスプレーして香りを確かめることにしています。ラベンダーの香りを感じると安心します。私のように、コロナかも!?と不安に思う方も多いと思います。1月7日に東京都などに2回めの緊急事態宣言が出されましたが、前回のように急激に感染者が減ることはなく、入院できず自宅療養中に容体が急変し亡くなる人が増えました。変異ウイルスに感染している人も確認され、不安と隣り合わせで生活していると言えるでしょう。私も家族以外と食事することはなく、マスクも常備し手の消毒も習慣化しました。感染経路に心当たりがないという人が増え、仕事を失った人、学校を辞めざるをえなかった人、そして自殺者の数も増えています。
こんな危機的状況であるにも関わらず、政府の対応に緊迫感がないように感じるのは何故でしょう……。「菅総理の話には、まったく誠意が感じられません。先生は、そう思いませんか?」と、話し方教室の皆さんによく聞かれます。官房長官のときには、今の突き放したような淡々とした話し方でも良かったのかもしれませんが、総理大臣という立場にはふさわしくない気がします。ましてコロナ禍では、内容が良かったとしても、心に響きません。もっと自分の思いを言葉にのせて話して欲しいと思います。原稿を読むにしても、気持ちが入っていれば言葉に力がこもりますし、間(ま)も生まれてきます。自分の言葉で語るのは難しいと思いますが、ドイツのメルケル首相が、昨年暮れに外出を控えるように訴えたスピーチは説得力がありました。「クリスマスにおじいちゃんおばあちゃんに会ったら、もしかしたら来年はもう会えなくなってしまうかもしれません。今年は我慢して!」今は命を守るために皆が我慢しようというメッセージが、心に響きました。
顔と顔を合わせたコミュニケーションで最も力を持つのは、表情です。口調は3割、言葉は1割だと言われています。マスクをしていても、伝えたい気持ちがあれば伝わります。「令和の(ワクチン)運び屋になる!」と言い切った河野大臣には頼もしさを感じました。この言葉を放ったとき、河野大臣はカメラを見ていました。そこがポイントです。なぜなら、“見ているところに言葉は届く”からです。原稿を見ていたら届きません。顔を上げてカメラの向こう側にいる国民に向けて話すことが大事です。そうすればおのずと表情も豊かになり、言葉に説得力が生まれます。イキイキと自信にあふれた口調でコロナ対策を語ってくれれば、国民の気持ちも前向きになれるような気がします。リーダーシップを発揮するためにも、菅さんご自身の言葉を私たちに届けてください。