理事長、『八王子をどり』の主催者が、ぜひ理事長をご招待したいということですが、いかがですか?」
3年に1回開催される「八王子をどり」は、八王子芸妓衆の晴れ舞台で人気のイベントです。コロナ禍のため昨年は中止になり1年延期して5月開催となりました。ところが、今年も東京都には緊急事態宣言が出され、観客数を半分以下にして財団のいちょうホールで実施する運びとなりました。残念ながら予定があって当日は観られませんでしたが、後日オンライン配信で観ることができました。パソコンの画面だから臨場感がないだろうと思ったら、大間違い! その華やかな舞台に、私はたちまち魅了されました。
「八王子に芸者さん!?」と思われるかもしれませんが、古くから絹織物で栄えた八王子市では商談のおもてなしの場として花柳界が生まれたのだそうです。現在は15人の芸者さんがいます。「八王子をどり」の演目は、第1部は「常磐津 釣り女」「清元 扇獅子」、第2部は「旅情ところどころ」と題して各地の民謡に合わせた踊り。さらに「八王子の四季」という八王子花柳界オリジナル曲のお披露目もありました。踊りはもちろん、お芝居も実に巧みにこなしていて感心しました。
最後の口上では、全員が舞台に勢ぞろいし、それはそれは華やかです。正座して両手をついてお辞儀をする、その所作の美しいことと言ったら! あでやかで粋な立ち居振る舞いから、お稽古を重ねてきた意地とプライドが伝わってきました。コロナ禍で仕事が減ってしまい、「八王子をどり」を実施するためにはどうしたらよいか悩んだ挙句、クラウドファンディングを利用したというので驚きました。支援者は136人、5,026,500円も集めることができました。支援者への感謝の言葉を聞いて感激しました。オンラインでも出演者の熱い思いは十分に伝わってきました。
絹織物が衰退するにつれて芸者さんの数も減ってしまいました。このままお座敷文化をなくしてはならないと立ち上がったのは、置屋「ゆき乃恵」のおかみ、めぐみさんです。サラリーマンの家庭で育っためぐみさんは、学生時代のアルバイトがきっかけで芸者さんになろうと思ったそうです。お座敷遊びというと敷居が高いと思われがちです。そこで、めぐみさんは病院のロビーコンサートに出演したり、小学校で授業もしたりしたそうです。そんな努力が実って地元に支援の輪が広がりました。女性ファンが多いのも強みです。八王子花柳界は今後どう発展するのか楽しみです。私も応援しますよ!