久しぶりにテレビ番組の収録に参加しました。ケーブルテレビJ:COMの「池上彰のちょっとお邪魔します!」という、地域の魅力を発信する特別番組です。ミシュランガイドで三ツ星に輝いた東京都八王子市にある高尾山に、ジャーナリスト池上彰さんが行ったことがないということから、この企画が生まれました。
多忙な池上さんとこれまた多忙な薬王院の佐藤秀仁(しゅうじん)貫首(かんす)のスケジュールが合った日は、あいにくの大雨でした。悪天候でも登山客がいることに驚きましたが、撮影スタッフの人数の多いことにも、びっくり! いわゆるロケ隊です。薬王院に先回りして撮影準備するスタッフが5人、ロケ本隊が7人、撮影のヘルプをするスタッフもいます。プロデューサーやカメラマンは傘もさしていません。良い番組にしたいという熱意が伝わってきます。
ケーブルカー乗り場で八王子の観光大使を務める北島三郎像にご挨拶。池上さんから「なぜ高尾山というのか?」という突然のクエスチョンに、ドキッ! わかりません。考えたこともありませんでした。池上さん、いろいろ調べてきたのですね。さすがです!
薬王院では、普段拝見できない書院をご案内くださいました。総杉造り、1階は和風のデザイン、2階は西洋風です。当時の住職が、これからの日本は山寺にも西洋文化が入ってくるからと、このような造りにしたそうです。2階は3つの部屋に分かれていて、しつらえも一部屋ごとにグレードアップしていきます。奥の部屋の壁には西陣織が使われ、窓は法輪の形をしています。次の貫首を誰にするかなど、最も重要な会議の時にしか使われないそうです。
高尾山のご本尊は薬師如来。聖武天皇の時代に疫病が流行り、それを鎮めるために全国に国分寺や国分尼寺が建立され、薬王院も建立されたと池上さんの解説がありました。佐藤貫首のお話は、心にじわっと沁みてきます。「高尾山の修行は厳しいが、じつは実生活そのものが修行、親が病んでしまったり死んでしまったりいろいろあるが、生きること自体が修行なのです。お山を下りた方達が、なんだかすっきりしたねと言ってくださる、それは手つかずの大自然の中でほのぼのとした喜びを感じたからではないでしょうか。高尾山は心を洗う場所なのです」。
御護摩修行にも参加させていただきました。読経の流れる中、お焚き上げの炎を見ていると心が落ち着き、まさに心が洗われたような気がしました
ところで、池上さんから出されたクエスチョンの答えは、「高尾の尾は尾根の尾で、高い尾根のある山」だそうです。池上さん、次はどこにおじゃまするのでしょうか?